研究課題/領域番号 |
26870807
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研究機関 | 苫小牧工業高等専門学校 |
研究代表者 |
松尾 優子 苫小牧工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (60621216)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 女性技術者 / キャリア教育 / 国際交流 |
研究実績の概要 |
既に結婚・出産を経験し現在でも活躍されている建設系の女性技術者計10名の方に対して、ヒアリング調査を実施した。主なヒアリング内容は仕事と家庭の両立や、出産後・子育て時期の働き方、産休明けの職場復帰直後の働き方、男性職場におけるマナーなどである。これらのヒアリング内容を踏まえて、技術職場で働く女性のためのガイドラインとなるような技術職場における課題、キャリア継続にあたりライフイベント時の対応などを記載した学生向けのパンフレット「Women in Engineering 技術者への道」を作成した。パンフレット内には、先輩技術者の事例だけではなく、学生の声や後輩学生へのアドバイスも掲載した。作成したパンフレットは、全国の工業高等専門学校の建設系の学科に配布し、情報共有を行った。 次に研究代表者の所属する高専専攻科1学年(大学3年次相当)の学生9名が香港の高等教育機関である学校へ学生交流事業で訪れた際に、現地の学生とともにキャリアに関するワークショップを実施した。ワークショップの内容は、1)技術系職場の魅力と課題、2)技術者におけるワークライフバランスである。1)では、技術系職場の課題に対する日本人と香港人の捉え方の違いを認識し、各国の良さや現状を認めながら職場改善の意識を高め、技術者として働く意識を高めることを目的とし、各国の状況について話し合った。その結果、香港では特に建設系の企業では週休2日制は少なく、ほとんどの企業が休暇は日曜のみであった。しかし、香港学生にとっては、大規模プロジェクトに関わる建設系は、週1日の休みで残業が多くても当然であるという認識が多かった。2)では技術者としてのキャリアプランおよびライフプランに対する意見交換を行い、各国の違いを認識した。特に香港では資格の有無により給料差が明瞭に生じることから、学歴、資格に対する意識が非常に高かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国内女性技術者に対するヒアリング調査および、卒業する女子学生向けの「技術職場で働く女性のためのガイドライン」作成、配布は計画通りほぼ完了している。次年度は、今年度実施した香港学生と日本人学生を交えたキャリアに関するワークショップの検証を踏まえて、国際交流を組み合わせたキャリア教育の構築と研究とりまとめを行っていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は卒業する女子学生への配布を目的とした「技術職場で働く女性のためのガイドライン」を作成する。昨年度、実施できなかった国内女性技術者のヒアリング調査をこれにあわせて実施する。また、香港学生と日本人学生でキャリアプラン、ライフプランをテーマにWorkshopを開催し、両者の違いを学生達に認識してもらい事後アンケートを実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の進捗は計画通りであったが、学会発表の旅費が所属校で負担されたこと、札幌市内の女性技術者のヒアリング調査も他の業務で出張に行った際に行うことができたため、旅費の一部が次年度へ繰り越しされた。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度は、予定していた物品購入とガイドライン作成(印刷費)を行うことができた。また旅費については、女性技術者へのヒアリング調査、香港でのWorkshop実施、学会発表を行うために使用した。次年度は、国際交流を組み合わせたキャリア教育の構築のための、国内・香港の研究協力者との打合せのための旅費、Workshop実施時の消耗品費、学会発表などの旅費に使用したい。
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