この研究は、1910年前後にドイツ的社会政策を受け入れる土壌と考えられたアメリカ・ウィスコンシン州で活躍したコモンズの思想に焦点を当て、アメリカにおける社会政策の思想的基盤の展開を検討した。革新主義期のウィスコンシンでは、大学と政府との協働である「ウィスコンシン理念」に基づいて、社会改革・政治改革が実行された。ウィスコンシン理念を象徴する経済学者としてのコモンズは、かつてソーシャル・ゴスペラーとして活動した経験を持ち、社会全体のウェルフェアの改善を法的なルールの制定を通して実現しようとする経済思想を展開した。
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