研究課題/領域番号 |
26870810
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研究機関 | 明石工業高等専門学校 |
研究代表者 |
中村 文則 明石工業高等専門学校, その他部局等, 助教 (70707786)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 飛来塩分 / 塩害 / 飛沫 / 到達塩分 / 数値シミュレーション |
研究実績の概要 |
平成26年度は申請者がこれまでに開発した飛来塩分の数値シミュレーションモデルの問題点を改良し、長期的な気象・波浪条件を考慮した飛来塩分量を予測できる数値シミュレーションモデルの開発を行った。さらに、研究対象としている新潟県全域の既往の飛来塩分の現地観測結果を収集し、その整理および解析を行った。 具体的には、申請者らが既往研究において開発した飛来塩分の数値シミュレーションモデルの問題点である飛来塩分の発生量に関係する波浪モデルを改良し、広域における波浪を短時間で予測できるモデル(エネルギー・平衡方程式モデル)の構築を行った。また、飛来塩分の数値シミュレーションモデルを用いて構造物に到達する塩分量を推定する方法では、計算負荷が非常に大きく、計算時間も膨大に生じるといった問題点がある。その問題点を解決するために、平成26年度では、数値シミュレーションの結果から飛来塩分の予測のための算定図を作成し、そこから簡易的に高精度の飛来塩分量を予測する手法について検討を行った。 さらに、飛来塩分の現地観測では、現地観測器具の準備を行い、観測器具を設置する観測点の選定を行った。過去に新潟県全域で実施した飛来塩分の現地観測データおよび新潟県上越地方に設置されている名立大橋周辺における長期的な飛来塩分と気象データ(過去5年間)を入手し、その整理および解析を行った。 その結果、5年間の観測結果から毎年の飛来塩分の変動傾向は大きく差がないこと、飛来塩分は風況及び波浪条件に大きく影響を受けて変化していることが示された。さらに、飛来塩分の数値シミュレーションの結果から作成された飛来塩分の算定図を用いることで、飛来塩分の観測結果及び橋桁各部位の飛来塩分を再現できることが示された。これらの結果を、コンクリート工学年次論文集(査読付論文:現在2次査読中)に提出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度は、申請らが既往研究において開発した飛来塩分の数値シミュレーションモデルの問題点の改良し、広域(新潟県沿岸全域)における長期的な飛来塩分量の予測に対応できる数値シミュレーションモデルの構築を行い、その検証データとなる現地観測の入手を行う計画であった。その中で、長期的な飛来塩分量を予測に対応できる数値シミュレーションモデルの構築および広域の波浪状況を解析できる数値モデル(エネルギー・平衡方程式モデル)の構築について当初の計画通り達成できた。一方、構築した数値モデルの検証データとなる現地観測データは、計画を一部変更し、既往の現地観測データの収集を行い、その結果を整理および解析した。計画を一部変更した理由としては、当初想定していなかった既往の現地観測データを収集することができたためである。当初計画していた新たな現地観測は、平成27年度から実施する計画である。 また、平成27度実施予定である地理情報システム(GIS)によるデータベース作成のための海岸状況データの収集を平成26年度に実施しており、対象領域の半分の箇所でデータ収集が終了している。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度に再構築した数値シミュレーションの計算結果と新たに追加する観測結果を比較し、数値シミュレーションの妥当性の検証を行う。さらに、飛来塩分の移流・拡散過程及び風環境に関する数値モデルの改善を行い、高精度及び高速な計算を可能にする。具体的な改良点は、数値モデルの格子の取り扱いであり、数値モデルの計算格子点を等間隔から不等間隔に対応できるようにする点である。 さらに、地理情報システム(GIS)を用いた塩害を生じさせる環境条件と構造物の劣化状況のデータベースを作成するために、現地観測によるデータの収集及びその整理を行う。平成27年度では、平成26年度に観測が実施されていない新潟県中心地となるエリア②及び塩害が特に激しいと予想されるエリア④で実施する。 これらの成果は、平成27年12月までの成果をとりまとめ、平成26年度と同様にコンクリート工学年次講演会(査読あり)で研究成果の発表を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度は、飛来塩分および気象条件に関する現地観測を実施するとともに、平成26年度から既に実施している新潟県沿岸全域のコンクリート構造物の劣化状況および海岸状況の現地観測を実施する計画であることから、その旅費および現地観測サンプルの分析費等の費用が生じる予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度の使用計画としては、現地観測に必要な器具(観測器具を設置するための消耗品)、現地観測データを収集するための旅費に使用する計画である。現地観測で採取したサンプルの一部を分析するための費用にも使用する計画である。 また、研究成果を学会等で発表するため、学会の参加費、投稿料、旅費等の費用に使用する計画である。
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