研究課題
本年度は、研究目的を達成するため、広帯域・非分散アンテナの広帯域特性の改善を行った。広帯域特性の実現に重要な要素となる小型・平面アンテナのバラン回路の改善を行い、広帯域アンテナの一つであるボウタイアンテナへの適用を図り、伝送線路の回路パターンのテーパー部分の長さや幅だけでなく、スルーホールのサイズや位置の違いによる周波数特性の検証を重ねた。また、高周波回路の基板材料の厚み 0.254 ~ 0.83 [mm]、および、比誘電率 2.2 ~ 6.15 の範囲におけるアンテナの反射特性の検証を行った。これら材料のパラメータなどの変更による検証を通じて、-10 dB 帯域幅を 2.7 GHz から 7.3 GHz (5.7から13 [GHz]) と、4.6 GHz の広帯域化 (計算値) を実現することができた。これは、各パラメータの調整により、反射が小さい周波数帯域の低周波および高周波へのシフトが可能となり、測定対象物による周波数領域の選択の際に有効であると考える。超短パルス計測システムおよび、人体の胸部を模した胸部ファントムを用いて、腫瘍相当のターゲットとして、小型の誘電体をファントム内に挿入し、一定間隔で駆動させたときの反射信号の解析を行い、内部画像の再構成に関する実証実験を行った。アンテナの種類だけでなく、アンテナとモデルとの距離、送受信アンテナの間隔、アンテナからの電波の照射角度の違いなどによる検証を行い、計測システムにおけるアンテナシステムの改善および、システムにおける不要な反射波の低減を図り、システム全体のダイナミックレンジの向上を目指した。その結果、ファントムの深さ約 10 mm に挿入した、大きさ3×3×2.5 [mm] の誘電体の画像を得ることができた。今後は、アンテナシステムの最適化および、解析する周波数の選定を行い、検知精度の向上を目指す。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件)
Journal of Plasma and Fusion Research: Regular Articles
巻: 11 ページ: 2402111-1-4
Review of Scientific Instruments
巻: 87 ページ: 11E127-1-3