本研究課題では平成26~28年度の研究期間で、モンゴル・ウランバートル市街地の集合住宅地区を対象としてソフトとハードの両側面より調査・分析を行ってきた。先ず、ソフト調査としてウランバートル市、都市計画研究所、モンゴル建設省、モンゴルJICAに対するヒアリング調査よりモンゴル都市部の都市計画の現状と将来計画を整理すると共に、集合住宅地区の管理組合に対するヒアリング調査、集合住宅居住者に対するアンケート調査、集合住宅地区の屋外共用空間の利用状況調査より生活・居住環境づくりの基礎的知見を得た。更にハード調査としてウランバートル市街地の各種施設の分布状況、調査対象集合住宅地区を中心とした半径500m領域の土地利用・施設分布の傾向を地理情報システムを活用して定量的に分析し、施設分布状況の可視化を行った。 最終(H28)年度においては、その調査・研究データを踏まえ、過去(2002年、2007年)に実施した各種調査との比較分析を行い、市街地の空間的変容と居住者の意識・活動特性の変容についてモンゴル科学技術大学(MUST)建築学科・ゴンチグバト研究室と共同して考察を行った。加えて、本研究課題の研究成果を活かし、現地においてモンゴル科学技術大学高専留学プログラムのモンゴル人学生18名、都城高専学生10名で今後のまちづくり・都市計画の提案に関するワークショップを2日間に渡り実施した(2016年8月)。更に、2017年3月にはMUSTにおいて「研究交流シンポジウム」を開催し、研究成果発表と建築学科・言語学科教員とのディスカッションを実施した。こうした本研究課題の成果発表を現地の関係機関と連携して実施したことにより、現在、研究代表者の所属機関(都城高専)において、MUSTに加え、2017年度内にモンゴル工業技術大学(IET)と研究協力協定を締結する方向であり、研究代表者がその中心的役割を担っている。
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