研究課題
ヒトの知性・行動および精神・神経疾患の病態機序を理解するには、ヒト固有の脳構造の進化過程を解明することが必須であり、ヒト以外の霊長類の脳構造の研究が欠かせない。本研究では、磁気共鳴画像(MRI)法を用いて、言語、社会性などヒト固有の認知機能で重要な役割を担う前頭前野における、ヒト固有の成長様式を明らかにすることを目指す。本年度は、昨年度に引き続き、Johns Hopkins Universityの森・大石研究室の研究協力のもと、Large Deformation Diffeomorphic Metric(LDDMM)と非線形画像変形アルゴリズムを用いた、ヒト以外の霊長類の脳発達アトラスの構築を検討した。さらに、れまでの研究成果について、3つの学会・シンポジウムで報告を行った。国内学会では、第60回プリマーテス研究会で発表した「高磁場MRIによる霊長類の脳神経回路構造の比較研究」が優秀口頭発表賞を受賞した。国際シンポジウムでは、富山大学医学部の文部科学省平成27年度科学技術人材育成費補助事業「ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ(特色型)」で企画されたシンポジウムである“How Human Evolved Supersize Brains-The Growth of the Brain-”で、“Mapping Evolution and Development of the Primate Brain by Neuroimaging Techniques”というタイトルで招待講演を行った。
2: おおむね順調に進展している
現在までのところ、概ね順調に進んでいる。Johns Hopkins Universityの森・大石研究室が開発した計算解剖学的手法を用いて、ヒト以外の霊長類の脳発達アトラスの構築を検討した。また、国内学会での優秀口頭発表賞受賞、国際シンポジウムでの招待講演等、研究成果の発信も十分に実施することができた。(受賞)酒井朋子「優秀口頭発表賞」第60回プリマーテス研究会 2016/01/31,(公財)日本モンキーセンター(愛知)(国際シンポジウム・招待講演)Tomoko Sakai “Mapping Evolution and Development of the Primate Brain by Neuroimaging Techniques”, How Humans Evolved Supersize Brains -The Growth of the Brain-, 2016/03/28 , Toyama
申請者は平成28年度から、日本学術振興会海外特別研究員として、Johns Hopkins Universityの森・大石研究室で研究活動を行う。これまで収集したヒト以外の霊長類の脳画像をもとに、脳発達アトラスの完成を目指す。さらに、ヒトとヒト以外の霊長類との種間比較と通して、ヒト固有の前頭前野構造の成長様式を明らかにすることを目指す。
画像解析に必要なパーソナルコンピュータを購入した際、機種の変更により、当初の予算より低額で購入することができたから。
平成28年度における論文校閲に関する経費の一部として使用する予定である。
すべて 2016 2015 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件) 図書 (1件) 備考 (3件)
PLoS One
巻: 10 ページ: 1-13
http://dx.doi.org/10.1371/journal.pone.0118760
http://lbam.med.jhmi.edu
http://www.mri.kennedykrieger.org/susumumori.html
http://cmrm.med.jhmi.edu