本研究は、申請者が所属する研究所が開発した抗結核菌作用を有する化合物CPZEN-45の作用機序の全容を解明することを目的とした。 3種類の酵素に標的としての可能性があると考えていたが、CPZEN-45はこのうち細胞壁の主要構成成分であるアラビノガラクタン(AG)の生合成に関与する酵素WecAを強く阻害し、またAGの新規合成を阻害した。他方、WecAの類縁酵素で、もう一つの細胞壁の主要構成成分であるペプチドグリカンの生合成に関与する酵素MurXについては、CPZEN-45はこれを阻害しなかった。また、第3の標的候補であるAGリガーゼについてはその酵素本体をほぼ特定するに至った。
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