定量的な食物網構造の把握はその動態や安定性の理解に欠かせない。植物遺体から食う―食われる関係を通じて、食物網の他の生物へどのようにエネルギーが流れるかは、食物網全体の動態に大きく影響を与えることが知られている。本研究では、食物網構造を定量化するための一連の手法を開発し、その方法を応用することで植物遺体を消費する生物の多様性が高いほど植物遺体由来のエネルギーが食物網の上位の捕食者のエネルギー獲得に占める割合いが大きくなるという仮説を検証した。多数のため池における定量的な食物網構造の分析から、植物遺体食者の多様性および個体数が植物遺体由来のエネルギー割合と有意な正の関係を持っていることが示された。
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