本研究の目的は、ハゲ山からの森林再生によって降雨量ー直接流出量が変化したメカニズムを解明していくことである。東京大学演習林生態水文学研究所穴の宮試験地内にAプロット(ハゲ山)、Bプロット(森林→伐採→ハゲ山)、Cプロット(森林)を設け、同じ観測システムを設置して、同じ降雨量に対する表面流の違いを定量的に比較した。A,BとCの比較から、森林斜面では降水強度に関係なく降水量の約2%が地表面流量となっていたが、裸地斜面では降水強度が1mm/5分を超える強度の降水量の約30%が地表面流量となっていた。この結果により、森林斜面と裸地斜面の地表面流量の差の降雨イベント毎のばらつきを説明できた。
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