近年、強相関遷移金属酸化物SrVO3極薄膜において、膜厚方向に伸びたd軌道由来のバンドが量子化する金属量子井戸(QW)状態が発見された。本研究は、薄膜構造によりこのQW状態の波動関数を制御することで、強相関金属QWを用いた超格子などのデバイス展開に向けた、新たな量子物性の探索及び物質設計の基盤を築くことを目的とした。 その目的のため、SrVO3極薄膜や多層膜構造におけるQW状態を角度分解光電子分光により調べた。実験結果は、SrVO3 QW状態に対してARPESによる電子構造解析が非常に有効であり、SrVO3多層膜構造を用いることでQW状態(強相関波動関数)を制御可能なことを明らかにした。
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