今年度は、これまでに検討・作成してきたPM2.5(大気汚染物質)の調査体験型学習プログラムを児童・生徒に対して実践し、プログラムの評価を行った。受講した団体はそれぞれ、中学校(1~2年18名)、こどもエコクラブ(小学5~中学1年8名)、高校(3年16名)、小学校(5年34名)であった。加えて、夏休み期間中には、群馬県衛生環境研究所において『夏休み環境教室』を開催し、本プログラムを参加者(小学5年~中学2年計12名)に対して実践した。PM2.5の調査は各団体の活動拠点周辺で行い、夏休み環境教室については当研究所の周辺で行った。本プログラムでは、調査で得られた結果に加えて、他の公開データ等を基に受講者に環境の現状を考察させた。学習プログラムの実践時には、毎回、教育効果を測るためのアンケート調査を学習前後に行った。 アンケート結果から、いずれの実践においても、「環境のことをもっと知りたい」と「将来、環境に携わる職業に就きたいと思う」の回答割合が学習後に増加する傾向が見られた。前者については、受講者の行動に関するアンケートで「世界の環境問題について進んで情報を集める」の回答割合が増加したこととも相関した。これは、本プログラムでの【環境問題に関する情報を知る】という経験が、受講者の環境問題への知的好奇心を喚起し、【環境問題について進んで情報を集める】のアクションに繋がった可能性を示唆している。このことから、本プログラムは、受講者の環境リテラシーの向上に寄与することが期待できた。 後者については、環境に関する意識のアンケート項目で、学習前よりも学習後は多くの項目で上昇する傾向が見られたが、そのような意識変化が将来の職業に対する意識として集約的に反映されたものと考えられた。 以上、本プログラムは受講者の環境問題に関する意識と行動を変容させる可能性が示唆された。
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