申請者らは肥満細胞が増加したマウスでは腸管寄生線虫に強い抵抗力を持つことや、感染時には 2 型自然リンパ球(ILC2)が増えることを発見した。ILC2 は感染初期の寄生虫感染に対する防御を担う自然免疫系の細胞であり、その活性化にはインターロイキン-33(IL-33)が必要である。詳細な解析を行うと、寄生虫感染により生じる腸管上皮細胞の損傷に伴い放出されるアデノシン三リン酸(ATP)に反応して活性化された肥満細胞が IL-33 を産生することでILC2 を活性化していることが分かった。これらの結果は、「寄生虫に対する自然免疫の発動を担う」という肥満細胞の新たな機能を明確に示すものである。
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