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2014 年度 実施状況報告書

部位特異的かつ多部位への非天然型アミノ酸導入による新規タンパク質安定化法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 26870853
研究機関独立行政法人理化学研究所

研究代表者

大竹 和正  独立行政法人理化学研究所, ライフサイエンス技術基盤研究センター, 特別研究員 (80593631)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
キーワード非天然型アミノ酸 / 酵素化学 / 生体分子の化学修飾 / タンパク質工学 / 拡張遺伝暗号
研究実績の概要

申請者らは、大腸菌翻訳終結因子1遺伝子破壊株(RFzero株)を作製することに成功しており、本株を用いることによりタンパク質中の多数箇所に部位特異的に自在に非天然型アミノ酸を導入することが可能とした。本申請課題ではRFzero株を用いてハロゲン化チロシンを複数箇所に導入することによるタンパク質安定化法の開発を進行している。実際に、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)中に7個の3-ブロモチロシンまたは3-クロロチロシンを導入することにより顕著に耐熱化した変異体を作製した。また、X線結晶構造解析によりこれらの変異体の高分解能構造を得ることに成功した。さらにこれらの三次元構造を元に量子力学的計算を行い、ハロゲン原子がタンパク質中の空隙を埋めることによるvan der Waals相互作用の変化がタンパク質安定化の主因であることを明らかにした。そこでPDBに登録されている既存構造を用いてタンパク質中のチロシン残基meta位の空隙サイズを調べたところ、約四分の一が臭素原子または塩素原子の導入によりvan der Waals相互作用を形成させるのに適したサイズであることが判明した。このことから本法はGSTのみならず幅広い他のタンパク質にも応用可能であることが示唆された。実際にアゾレダクターゼ中の三箇所にブロモチロシンを導入することにより大幅に耐熱化させることにも成功している。
本研究で示したハロゲン化チロシンによる安定化法は従来の進化工学的なタンパク質工学手法とも組み合わせ可能であり、酵素を初めとする産業上重要なタンパク質の改変における新たな可能性を提示するものである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

一部研究対象となるタンパク質の見直しを行った以外は当該年度の研究実施計画において予定した研究の全てを順調に進行し完了した。
研究目的のうち基礎となる部分及び応用展開の一部までを遂行し、研究期間内における目的達成向けた見通しを立てることに成功した。

今後の研究の推進方策

前年度の成果に加えて更に応用展開にむけた研究を遂行する。特に産業上有用で安定化することにより大きなメリットが見込まれる酵素をメインターゲットとする。さらに酵素の安定化によりもたらされる高温での反応可能性についても検証を行っていきたい。

次年度使用額が生じた理由

購入を予定していた物品の一部の購入を見合わせ、消耗品の一部について次年度以降の購入が適当であると判断したため。また、旅費についても予定金額を下回ったため。

次年度使用額の使用計画

翌年度分として予定していた消耗品の購入に加え、前年度に購入を見送った消耗品の購入を行う。広く応用展開に行うにあたり消耗品の購入額が大きくなる。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Protein stabilization utilizing a redefined codon2015

    • 著者名/発表者名
      Ohtake, K., Yamaguchi, A., Mukai, T., Kashimura, H., Hirano, N., Haruki, M., Kohashi, S., Yamagishi, K., Murayama. K., Tomabechi, Y., Itagaki, T., Akasaka, R., Kawazoe, M., Takemoto, C., Shirouzu, M., Yokoyama, S. & Sakamoto, K.
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 5 ページ: 9762

    • DOI

      10.1038/srep09762

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Highly reproductive Escherichia coli cells with a blank assignment for the UAG codon2015

    • 著者名/発表者名
      Mukai, T., Hoshi, H.; Ohtake, K., Takahashi, M., Yamaguchi, A., Hayashi, A., Yokoyama, S. & Sakamoto, K.
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 5 ページ: 9699

    • DOI

      10.1038/srep09699

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Ubiquitin acetylation inhibits polyubiquitin chain elongation2015

    • 著者名/発表者名
      Ohtake, F., Saeki, Y., Sakamoto, K., Ohtake, K., Nishikawa, H., Tsuchiya, H., Ohta, T., Tanaka, K., Kanno, J.
    • 雑誌名

      EMBO Reports

      巻: 16 ページ: 192-201

    • DOI

      10.15252/embr.201439152

    • 査読あり
  • [学会発表] 部位特異的多箇所へのハロゲン化チロシン導入による新規タンパク質安定化法2015

    • 著者名/発表者名
      大竹 和正, 山口 純, 春木 満, 坂本 健作
    • 学会等名
      日本農芸化学会 2015年度大会
    • 発表場所
      岡山大学津島キャンパス
    • 年月日
      2015-03-27
  • [学会発表] 大腸菌コドン再定義が拓くタンパク質工学の新たな可能性2014

    • 著者名/発表者名
      大竹 和正, 山口 純, 坂本 健作
    • 学会等名
      「細胞を創る」研究会 7.0
    • 発表場所
      東京大学弥生キャンパス
    • 年月日
      2014-11-13 – 2014-11-14
  • [学会発表] ハロゲン化チロシンの多箇所への部位特異的導入によるタンパク質の安定化2014

    • 著者名/発表者名
      大竹 和正, 山口 純, 春木 満, 山岸 賢司, 村山 和隆, 白水 美香子, 横山 茂之, 坂本 健作
    • 学会等名
      第52回日本生物物理学会年会
    • 発表場所
      札幌コンベンションセンター
    • 年月日
      2014-09-25

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公開日: 2016-06-01  

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