本研究は、災害時の排泄問題に対する障害者自身による対策を促進させる知見を得ることを目的とした。頸髄損傷者へのインタビュー調査により、災害時の排泄問題に対して抱える不安とそれをやわらげる対策(排泄介助者の安定供給、安心して排泄できる環境の確保、水や排泄用品の十分な備え)を特定し、これらの対策を後押しする主題(旅行経験、失敗経験、ピアからの情報)を抽出した。頸髄損傷者への質問票調査では、災害時要援護者名簿への登録と同じ障害のある者から災害体験を聞いた経験との関連を見出した。研究結果から、同じ障害のある者(ピア)からの情報提供が、自助による災害時排泄問題対策を促進する可能性が示唆された。
|