研究課題/領域番号 |
26870863
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研究機関 | 成蹊大学 |
研究代表者 |
豊田 航 成蹊大学, 理工学部, 助教 (90609257)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 弁別特性 / 触覚 / 点図 / 凸点 / 高さ / 触図 / 視覚障害 / 歩行訓練 |
研究実績の概要 |
視覚障害者向けに立体化させた画像情報は触図と呼ばれており,製法によって幾つかの種類に分けられる.なかでも点字で使用される凸状の丸点(凸点)を連ねた線や面で描画した触図は点図と呼ばれ,点字プリンターを用いて紙に出力する方法が一般的な印刷方法の一つである.点図は凸点の触感の違いで図の内容を様々に表現し分けるが,多くの点字プリンターでは印刷可能な凸点の種類が2~3種類に限定されており,しかも触っても区別できない寸法で出力されるという視覚障害者からの声がある.そこで本研究では,視覚障害者の触覚特性を再検討し,区別可能な凸点によって構成される点図が印刷できる可能な点図プリンターの開発に資するため,凸点の単純形状パラメーターとして,その高さと先端部の曲率半径(直径に相当)に着目し,これらが弁別可能な寸法の条件を明らかにする事を目的とした. 心理物理学的実験により,視覚障害者の年齢や触図の利用経験に関わらず弁別可能な高さおよび直径のデータセットが明らかになった.なお,点字プリンターの機種によっては,直径のみを変化させて複数の種類の凸点を印刷することを試みるものがあるが,本実験より直径を変化させるだけで正確な弁別を行うことは困難であることが明らかとなった.得られたデータは,今後新たな点字プリンターの設計を検討する上で参考となる.なお本研究に付随する有益な成果として,実験計画立案の過程で実施した歩行訓練士や視覚障害者当事者に対するヒアリング調査により,視覚障害者に対する歩行訓練における触図の利活用の実態と触図に対するニーズが明らかとなった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画通り順調に進んでいるが,実験データの信頼性向上に向けて追実験を行い,実験データ数を増やす.
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今後の研究の推進方策 |
国内の視覚障害者関連団体などと協議の上,実験の目的に適合する属性の視覚障害者を募集し,実験を実施する.
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次年度使用額が生じた理由 |
実験データの信頼性向上に向けて実験データ数を増やす予定であり,実験参加者および協力者に対する謝金を支払う必要があるため.
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次年度使用額の使用計画 |
実験参加者および協力者に対する謝金および実験に必要な材料,消耗品に支出する.
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