研究課題
ヒト・カンピロバクター感染症は主に汚染鶏肉の喫食を介して成立するため、鶏宿主における本菌汚染制御は、ヒト感染予防に資する根源的な対策と目される。しかしながら、本菌が顕す同宿主内での感染動態については未だに十分な知見が集積されていない。本研究では、カンピロバクター感染に伴い、鶏宿主内での顕著な変動が想定される腸内細菌叢および腸管免疫応答の動態に着目し、同宿主の発育過程あるいは本菌感染に伴うこれら要素の相互作用を包括的にとらえることで、鶏宿主における本菌感染と持続定着に係る分子基盤を理解することを目的とする。平成26年度はSPF鶏を用いて、発育過程における盲腸内菌叢変動を検討した。滅菌飼料(発育期による切り替えなし)・滅菌水等を与えた環境下において発育させた同鶏群の時系列に伴う菌叢変動については、全体を通じて高い優勢度を示す嫌気性細菌の存在を見出した。同菌の相対構成比は、2週令以前では概ね80%以上であったが、3週齢の個体群において有意な減少を示し、4週齢以降では個体間で著しい差異を示した。2週齢のSPF鶏個体を用いたC.jejuni 81-176経口感染実験を行ったところ、鶏盲腸菌叢に占める同菌の構成比率は速やかな低減を認めた。当該菌株については、分離培養を行い、ゲノム解読に供した他、共培養によるC. jejuniの生存性低下試験を通じ、細菌間での生存挙動に関する知見を収集した。血中の偽好酸球分布は、発育期による有意な変動を示さず、サルモネラ属菌感染とは異なり、C.jejuni感染鶏群においても、顕著な変動は認められなかった。この他、現在は炎症性サイトカインの血中動態等について検討を行っているところである。
2: おおむね順調に進展している
計画の各項目について、概ねカバーしている他、C.jejuniの実験感染あるいは同菌の感染成立時期に顕著な変動を示す腸内細菌叢の同定を行うことができたため。
平成27年度も、従来の計画に沿った内容にて進めていく予定である。
情報通信費の使用計画が次年度へ変更となったため。
平成27年度に執行予定である。
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