研究実績の概要 |
ハウスダスト中ETのアレルギー症との関連性を調べるため住宅内濃度調査及び居住者アンケート調査を行っている。ダスト収集には掃除機の集塵袋に集まっているものを採集瓶の郵送によって収集する方法と、現地に赴いて掃除機の吸引口に採取フィルタを装着して捕集する方法、2通りの採取法を用い、関東圏住宅(55件)及び京都府住宅(12件、13ヶ所)のダストを採取した。 ダスト中ET濃度は約250~35,000EU/g(平均7,405±6,885)と幅広く分布しており、室内環境中では数千EU/gが一般的であった。ダストの採取時期による違い(夏期・中間期 > 冬期)がうかがわれた。 殆どの住宅は数千EU/g範囲でこれらが一般的なダスト中ET濃度であった。一方、数百EU/gの住宅も数件存在している。細菌は人間、土壌由来であり環境中にはどこにでも存在するため、濃度が高いだけでなく非常に低いことも問題があると考えている。これに関しては真菌濃度、化学物質濃度と比較しながら調べてゆく必要がある。 ET濃度(Log(ET濃度))と家族構成員のアレルギー有症率との相関分析(有意水準5%)を行った結果、ET濃度が高くなるとアレルギー有症率が低くなる傾向が見られたが、その相関に有意差は認められなかった。 アレルギー症の人がいる家庭は掃除、換気など室内環境により気を配る傾向があることが原因と考えられる。 今後は、収集したアンケートデータの詳細解析を行うと共に、試料の母数を増やしてアレルギーとの関係を調べてゆく。
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