ストレス、テロメア短縮、統合失調症という三者を結ぶ分子基盤を明らかにすることを目的とし、テロメア異常という今までにない新たな観点から統合失調症を捉え、新規治療法や診断法の開発を行うための基盤となる研究を行った。本研究の結果、日本人統合失調症患者の末梢血ゲノムにおいてもテロメアの短縮が認められ、テロメア短縮が人種によらず、統合失調症患者に普遍的に生じている異常であることを明らかにした。また、第二世代抗精神病薬の治療効果の背景にテロメア短縮の改善という現象があり、統合失調症の神経新生減少、陰性症状、認知記憶障害という病態生理には海馬におけるテロメアの短縮が関与していることを明らかにした。
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