研究課題/領域番号 |
26870883
|
研究機関 | 独立行政法人国立国際医療研究センター |
研究代表者 |
早川 佳代子 独立行政法人国立国際医療研究センター, その他部局等, その他 (70646778)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 扁桃炎 / 咽頭炎 / フソバクテリウム |
研究実績の概要 |
【背景】細菌性咽頭炎の原因としては、これまで主にA 群溶血性レンサ球菌(溶連菌)が知られており、診断、治療も溶連菌をターゲットに行われてきた。近年、欧州よりフソバクテリウム・ネクロフォーラム(FN菌)が青壮年咽頭炎の起因菌として、溶連菌と同等以上に認められたという報告がなされた。これらの報告と国内の自験例から鑑みるに、本邦でも青壮年咽頭炎例の10%がFN菌を原因菌とすると推定される。FN菌咽頭炎は重篤合併症(レミエール症候群)を起こしうるため、適切な診断と治療が重要である。しかし、日本でのFN菌咽頭炎に関する知見は極めて乏しく、世界的にも臨床疫学的検討はなされていない。 【目的】本研究ではFN菌咽頭炎の微生物学的・臨床疫学的検討を行い、臨床的に有用な疫学的知見や微生物学的特徴を明らかにし、適切な診断・治療法の発展に役立てることを目的としている。 【対象・方法】①咽頭炎群、②扁桃周囲膿瘍もしくは扁桃摘出術群、③コントロール群の3群につき対象とする。得られた検体に関し微生物学的解析を行い、FN菌の検索を行う。検出されたフソバクテリウム・ネクロフォーラムの微生物学的解析及びフソバクテリウム・ネクロフォーラム咽頭炎の臨床疫学的解析について検討を行う。 【2014年度の結果】倫理委員会認定及び研究体制の整備後、2014年10月より症例登録を開始した。2015年3月までの6ヶ月間にて咽頭炎群として計30例、扁桃摘出群として計17例、コントロール群として計10例の症例を登録した。培養検査において、咽頭炎群の2例(7%)、扁桃摘出群の5例(29%)、コントロール群の1例(10%)よりフソバクテリウム菌が検出された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2014年度に予定していた症例登録、フソバクテリウム菌の培養同定、臨床情報の収集に関しては計画通りに進んでいる。当初2014年度に予定していた分子微生物学的解析及び薬剤感受性試験に関しては、検査効率及びコストの点から、2015年度にまとめて施行する予定とした。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の研究期間中も症例登録を継続する予定である。更に今年度はフソバクテリウム菌の薬剤感受性検査、菌量の定量的な評価も含めた分子微生物学的解析、臨床疫学的解析を予定している。
|
次年度使用額が生じた理由 |
検査効率及びコストの点から、当初2014年度に予定していた一部の微生物学的検査(薬剤感受性、分子微生物学的検査)を2015年度に施行することとしたため次年度使用額が生じた。また、最終年度であり、研究成果発表に必要な費用についても計上した。
|
次年度使用額の使用計画 |
フソバクテリウム菌の微生物学的解析に用いる消耗品(生化学実験試薬、細菌培養培地 咽頭培養スワブ、微生物学検査試薬、微生物学検査実験器具)や学会での研究成果の発表のために必要な出張経費、及び論文発表の為の諸経費として使用予定である。
|