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2014 年度 実施状況報告書

遺伝子発現誘導可能な神経変性疾患モデル霊長類の家系作出と疾患バイオマーカーの開発

研究課題

研究課題/領域番号 26870884
研究機関信州大学

研究代表者

富岡 郁夫  信州大学, 学術研究院農学系, 助教 (30528196)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード神経変性疾患 / 疾患モデル / ポリグルタミン病
研究実績の概要

本研究の目的は、第一に発現誘導可能な遺伝子システム(TET-onシステム)を用いて、ヒト疾患モデル霊長類(マーモセット)の家系を作出することである。特に、難治性神経変性疾患であるポリグルタミン病をターゲットとする。第二にポリグルタミン病の病態と運動失調との相関を明らかにし、疾患の生物学的指標(バイオマーカー)を開発する。この目的を達成するため、平成26年度は「異常伸長ポリグルタミン鎖をもつ変異遺伝子のデザインと発現ベクターの作製」と「変異遺伝子導入した遺伝子改変マーモセットの作出」をおこなった。
ポリグルタミン病のうち世界的にも最も高頻度に発症する脊髄小脳失調症3型(SCA3)の原因遺伝子について、ポリグルタミン鎖をコードするCAG リピート配列を異常伸長(>120)させた変異遺伝子を合成した。この変異遺伝子を、TET-onシステムを有するベクター(RIKEN)に挿入し発現ベクターを構築した。293細胞を用いて、この発現ベクターの動作を確認した結果、Dox存在下で遺伝子発現が認められ、Western解析により目的タンパクの生産も確認された。
トランスジェニックマーモセットを作出するため、レンチウィルスを介して発現ベクターを導入した計34個のマーモセット受精胚を、18頭の仮親に移植した。その結果、8頭の仮親より12頭のマーモセットが生まれ、7頭が成長した。現在、この7頭の遺伝子解析をおこなっており、全てのマーモセットに導入遺伝子が挿入されていることが確認されている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

平成26年度の計画は、CAG リピート配列を異常伸長させたポリグルタミン病の変異遺伝子を有するTET-onシステムの発現ベクターを構築し、5頭を目標に産仔を獲得することであった。研究は順調に進んでおり、Doxで制御可能なTET-onシステム導入発現ベクターの構築に成功し、タンパクレベルでも制御可能であることが確認された。個体作出実験においては、TET-onシステムにより胎仔期の細胞毒性を回避でき、高い妊娠率が実現でき、流産も非常に少なかった。結果的にトランスジェニック個体が7頭得られたことは、予想以上の進捗であった。

今後の研究の推進方策

作出されたトランスジェニックマーモセットについて、耳より線維芽細胞を樹立し、Dox添加培地で培養することで遺伝子発現誘導解析をおこなう。また、個体レベルでもDox添加した飲み水を与えることで、遺伝子発現誘導をおこなう。その前後で各個体の遺伝子発現誘導効率を調べ、誘導効率の高かったマーモセットを選抜し、自然交配あるいは体外受精を用いて第二世代を作出していく。将来的に、この動物を広く世界へ供給できる繁殖体制を整えていく。

次年度使用額が生じた理由

トランスジェニック個体の作出実験において、想定以上の効率で妊娠・出産・個体作出が可能であったため、実験期間が大幅に短縮された。その結果、当初予定していたよりも実験試薬・物品などの物品費がかからなかったため。

次年度使用額の使用計画

第二世代の獲得実験において、選抜個体数を当初予定した1頭から2頭に増やし、モデル動物家系の作出を大規模におこなう。そのため、次年度使用額とH27年度請求額を合わせて物品費を当初の予定より増額して研究を進める。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] ポリグルタミン病マーモセットの作出2015

    • 著者名/発表者名
      富岡郁夫
    • 学会等名
      第36回 国立精神・神経医療研究センター 神経研究所 研究発表会
    • 発表場所
      東京都小平市 国立精神・神経医療研究センター
    • 年月日
      2015-03-05 – 2015-03-06

URL: 

公開日: 2016-06-01  

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