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2015 年度 実施状況報告書

遺伝子発現誘導可能な神経変性疾患モデル霊長類の家系作出と疾患バイオマーカーの開発

研究課題

研究課題/領域番号 26870884
研究機関信州大学

研究代表者

富岡 郁夫  信州大学, 学術研究院農学系, 助教 (30528196)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード神経変性疾患 / 疾患モデル / ポリグルタミン病
研究実績の概要

本研究の目的は、発現誘導可能な遺伝子システム(TET-onシステム)を用いて、ヒト疾患モデル霊長類(マーモセット)の家系を作出することである。特に、難治性神経変性疾患であるポリグルタミン病をターゲットとする。最終的にポリグルタミン病の病態と運動失調との相関を明らかにし、疾患のバイオマーカーを開発する。
この目的を達成するため、昨年度までに異常伸長ポリグルタミン鎖をもつ変異遺伝子のデザインと発現ベクターの作製と変異遺伝子導入した遺伝子改変マーモセットの作出をおこなった。
本年度は獲得したトランスジェニックマーモセットより線維芽細胞を樹立し、体外培養系において導入遺伝子の発現解析を実施した。さらにTET-onシステムの動作確認のため、各個体より樹立した線維芽細胞をDox添加培地で培養し、その前後で遺伝子発現誘導解析をおこなった。その結果、Dox添加前と比較してDox添加後の線維芽細胞は3.8倍から5.7倍程度の遺伝子発現誘導が確認された。さらに、個体レベルでもTET-onシステムの動作を確認するためトランスジェニックマーモセットにDox添加した飲み水を与え、遺伝子発現誘導をおこなった。Dox投与前後で血液を採取し、血液よりRNAを抽出し遺伝子発現量解析に用いた。その結果、Dox添加前と比較し1.5倍から3倍程度の遺伝子発現誘導が確認された。以上より、作出したトランスジェニックマーモセットのTET-onシステムが正常に作動することが示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

昨年度までに、CAG リピート配列を異常伸長させたポリグルタミン病の変異遺伝子を有するTET-onシステムの発現ベクターを構築し、ウィルスを用いて受精卵に導入した結果、7頭のトランスジェニック個体が得られた。本年度は、得られた個体より線維芽細胞を樹立し、Doxを添加し培養することで導入遺伝子の発現誘導に成功した。さらに、トランスジェニック個体にDoxを飲水に混ぜて投与することで、導入遺伝子の発現誘導に成功した。以上より、TETシステムを導入したトランスジェニックマーモセットの作出に成功した。以上より、順調に進展している。

今後の研究の推進方策

今後はトランスジェニックマーモセットの第二世代を作出する。Dox投与前後で遺伝子発現誘導率の高かった個体を優先的に、自然交配あるいは体外受精を用いて第二世代を作出する。第二世代が得られ次第、発症試験を実施し、ポリグルタミン病の病態と運動失調との相関を明らかにし、疾患のバイオマーカーを開発する。将来的に、この動物を広く世界へ供給できる繁殖体制を整えていく。

次年度使用額が生じた理由

おおむね計画通りの支出であったが、計画していた学会旅費を使用しなかったため次年度使用額が生じた。

次年度使用額の使用計画

H28年度請求額と合わせて、消耗品・物品費に使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件)

  • [雑誌論文] 非ヒト霊長類における発生工学の歴史2016

    • 著者名/発表者名
      富岡郁夫
    • 雑誌名

      信州大学農学部紀要

      巻: 52 ページ: 9-15

    • 査読あり / 謝辞記載あり

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公開日: 2017-01-06  

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