研究課題/領域番号 |
26870886
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研究機関 | 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
米田 恵子 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 臨床研究推進部, 研究生 (50455408)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 内発的動機づけ / 社会機能 / 認知リハビリテーション / 統合失調症 |
研究実績の概要 |
近年、神経認知と社会機能や社会的転帰の介在因子として、内発的動機付けや社会認知が注目されている。神経および社会認知リハビリテーションの社会機能や社会的転帰に対する効果検証を行うには、それらの介在因子である内発的動機付けが重要である。 本研究は、認知リハビリテーションに社会生活技能訓練を組み合わせることで、認知リハビリテーションに対する内発的動機づけが高まり、認知機能や社会機能の向上につながる、との仮説を検証することを目的とする。初年度は、米国のPattersonらが開発したFAST(Functional Adaptation Skills Training)について、原作者から日本語版作成の許可を得て、日本語版の作成に取り掛かった。日本語版作成の手順は、Good Practice for the Translation and Cultural Adaptation Process for Patient-Reported Outcomes (Wild,D,et al.2005)を参考にした。FASTの背景、目的を理解した3名の言語に精通した日本人が、日本語への順翻訳(forward translation)を行った。3名の協議により、1つの日本語草案への統合を行った。日本ではあまり馴染みのない「小切手」の使い方を習得する金銭管理のモジュールでは、文化的な差異を考慮し、一部新たにセッションを作成した。次年度以降、統合された日本語草案を逆翻訳(back translation)し、原作者の意図が正しく翻訳されていることを確認する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成26年度の研究計画書においては、FASTの日本語版の作成が完了している予定である。概要でも記述した通り、現状では統合された日本語草案まで完成しているが、原作者の意図の確認などはこれからである。
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今後の研究の推進方策 |
2年目はマニュアル完成後、統合失調症患者3~6 名を対象とした小グループによる フィージビリティスタディを24 週間実施する。FASTは、週に1 回、2 時間かけて行われ、計画立案と遂行、社会スキル、コミュニケーション、金銭管理、服薬管理、交通機関の利用といったモジュールについて認知行動療法的にアプローチするリハビリプログラムである。FAST 実施に伴う問題点を抽出し、フィードバックを行うとともに、実施前後に精神症状(PANSS)、認知機能(神経心理検査、BACS-J)、社会機能(UPSA-B、SLOF)を実施し、個人レベルでの変化を観察する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度予定している日本語版の完成に至っていないため、原作者との連絡調整に必要な通信費等で予算に剰余金が生じ、2年度に繰り越された。
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次年度使用額の使用計画 |
2年度の予算は、上記の他に評価尺度の開発及び介入実践に用いる予定である。 具体的には協力者の謝金、評価尺度作成のための消耗品費などである。
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