研究課題/領域番号 |
26870888
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研究機関 | 独立行政法人国立成育医療研究センター |
研究代表者 |
加藤 朋子 独立行政法人国立成育医療研究センター, システム発生・再生医学研究部, 研究員 (10638802)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 卵巣 / 転写因子 / 性分化 / ノックアウトマウス |
研究実績の概要 |
本研究課題では、独自のハイスループットトランスフェクションアッセイとゲノム編集技術による簡便なノックアウトマウス作製法を用い、雌性生殖腺における転写ネットワークの概要を築くことを目的とする。 本年度は卵巣分化に関わる転写因子の上流・下流関係を明らかにするため、各卵巣分化候補因子のプロモーター領域(転写開始点より上流7.5kb)をルシフェラーゼ遺伝子に繋いだレポーターと各因子の全長配列の発現ベクターを用い、ルシフェラーゼアッセイによる遺伝子間の相互制御解析を行った。対象としたのは卵巣で強い発現を示す18遺伝子であるが、そのうち9遺伝子は多くの遺伝子を活性化させるgeneral activatorとして機能する一方で、多くの遺伝子を抑制させるgeneral repressorが3遺伝子存在することが明らかとなった。中には自身の活性を調節する(auto-regulation)方向に動く遺伝子も存在した。 また、上記で用いたプロモーターについて、既存のマウスMGCクローン(発現ライブラリ-)約800遺伝子を用いた卵巣分化候補因子を用いてスクリーニングを行った。各遺伝子について活性を上昇させた上位50遺伝子を抽出したところ、1つないし複数のレポーター遺伝子について活性を上昇させたものが計155遺伝子存在した。その中で、卵巣特異的な活性を示したものが133遺伝子存在した。 さらに、これら18遺伝子をCRISPR/Cas9システムを用いて順次ノックアウトマウスを作製した。すべてのノックアウトマウスの作製は終えており、Mphosph8、Irx3、Dmrtc2、Egr1、Hmgb1、Msx1の各遺伝子について解析を進めているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
卵巣分化候補因子に作用する転写制御因子のスクリーニングは予定通り終了した。また、CRISPR/Cas9システムを用いたノックアウトマウスの作製も予定通り終了し、機能解析を順次進めている。
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今後の研究の推進方策 |
CRISPR/Cas9システムによるノックアウトマウスのスクリーニングを今年度半ばまでに終え、表現型が出たものについてはTALENシステムを用いたノックアウトマウスの作製に移行する。
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次年度使用額が生じた理由 |
CRISPR/Cas9システムにより作製したノックアウトマウスは予想外に作製できないものも存在したため、今年度作製し直す必要がある。コンディショナルノックアウトの系で胎生期での解析を行う必要がある。
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次年度使用額の使用計画 |
コンディショナルノックアウトの系で作製したマウスを用いて妊孕性のチェックおよび内外生殖器の組織学的解析を行う。
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