研究課題
既にアトピー性皮膚炎乳児を対象とした卵アレルギーの発症予防研究(PETIT study)において生後6か月という卵の早期摂取開始が卵アレルギーの発症を予防することを明らかにした。しかし、牛乳アレルギーについては早期摂取による予防効果は明らかにされていなかった。そのため、本研究課題の継続として、PETIT studyのデータ、牛乳特異的免疫グロブリンの測定結果を用いて、牛乳アレルギーにおいては生後から継続的なミルク摂取があることが、牛乳アレルギーの発症予防の因子になるかを前向きコホート研究として検討した。結果として、乳たんぱく摂取を中断して完全母乳期間がある児に比べて、生後から継続的にミルクなど乳たんぱくを摂取継続している児の方が牛乳アレルギーの発症が少ない可能性が示唆された。有意差は認めなかったが、サンプルサイズの問題と考えており、その根拠として、完全母乳期間がある児に比べて、継続的なミルク摂取がある児で、生後4-5か月にはすでに牛乳特異的IgG1, IgAが、9か月以降にはIgG1, IgG4, IgAが有意に多く誘導されていた。これは、早期からの継続的な摂取が免疫グロブリンのクラススイッチを誘導し、耐性獲得のメカニズムとして働いたのではないかと考えた。同内容は2018年3月のthe American Academy of Allergy Asthma and Immunology annual meetingにて発表し、現在論文投稿準備中である。また、これらの検討でアトピー性皮膚炎の寛解維持が耐性獲得のためには重要と考えられる所見を得た。そこで、アトピー性皮膚炎の寛解維持に石鹸洗浄が有効かも追加検討を行った。結果は石鹸洗浄により悪化する一群と石鹸洗浄が寛解維持に有用な一群がいたが、多くの患者において石鹸使用有無には治療効果に関連しないという結果であった。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件)
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