2015年10月にジョージア国立博物館において銅合金資料のより詳細な科学的調査のため微量試料採取について依頼を行った。その結果、微量試料採取および国外への持ち出しが許可された。そこでできる限り資料の内部より試料を採取した。 2016年9月25日から10月8日までジョージア国立博物館の保存修復室長を30点の微量採取試料と共に本国へ招聘した。試料については、誘導結合プラズマ発光分光分析に供し、これまでに現地で行ってきた蛍光X線分析による非破壊分析結果と比較検討を行った。この結果、多くの資料で良い一致が確認されたが、保存修復が過去に行われた資料については、合金成分が内部ではより少なかった。これは酸を使用した保存修復処置が行われたため、銅が選択的に溶出したことによると考えられる。そこで、保存修復が行われた資料については非破壊での合金成分調査が難しいことが判明した。今後は保存修復処置が行われていない資料を中心に調査を行うこととした。また、この招へいに伴い、帝京大学八王子キャンパスおよび帝京大学文化財研究所において講演会を実施し、今後の共同研究や文化財保護に係る協力について協議を行った。
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