研究課題/領域番号 |
26870906
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
安永 茉由 独立行政法人産業技術総合研究所, 健康工学研究部門, 研究員 (70712181)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | microRNA / 胎児期 / 栄養不足 |
研究実績の概要 |
当該年度は栄養不足により胎児の膵臓で発現変動するmiRNAを定量的に測定するため、定量的PCRの系を立ち上げた。 まず内在性コントロールとなるmiRNAの選択を行った。具体的には候補とした核小体低分子RNAであるsnoRNA202および一般的なRNAの定量に用いられるβ-Actinについて、マウス肝がん細胞株における発現量を比較した。snoRNA202はTaqMan MicroRNA Assays(Applied Biosystems)、β-ActinはSYBR Green(Applied Biosystems)を用いて解析した。結果、snoRNA202はβ-Actinと同様に、希釈系列依存的にシグナルが検出され検量線を作成することができた。またサンプル間における発現量の傾向の一致も確認できた。そこで実際に3種類の異なるmiRNA(miR-290-5p、miR-20a、let7a-5p)について定量的に検出できるかどうか、再現性も含め解析した。結果、各miRNAの発現について、定量的かつ高い再現性で検出できることが確認できた。以上の実験より、miRNAの定量的PCRにおいて、内在性コントロールとしてsnoRNA202を使用することで、定量的かつ高い再現性で測定できることが示唆された。現在、既に明らかにされている栄養不足により胎児の膵臓で発現変動するmiRNAを含め、胎児の膵臓β細胞の発生障害に関わるmiRNAを抽出する準備を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度はmiRNAの定量法について、各種検討を行い確立することができた。引き続き行う栄養不足により胎児の膵臓で発現変動するmiRNAの解析において、円滑に実験を遂行できると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究で予定していた妊娠期での母親の栄養不足に起因する胎児の膵臓β細胞の発生障害の分子メカニズムの一端の解明であるが、膵臓での網羅的発現解析をはじめ発現変動するmiRNAとエピジェネティックな発現制御との関連性が示唆され始めた。そこで近年新たに注目され始めた膵β細胞の発生に関わる骨芽細胞が分泌するホルモン(オステオカルシン)の発現変動についても解析を進め、骨組織と膵臓との組織間相互作用についても明らかにする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度、妊娠期での母親の栄養不足によって発症する低体重児II型糖尿病発症モデルを利用したmiRNAの発現解析を行うため。また解析対象の標的臓器を膵臓だけではなく骨組織も加えるため。
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次年度使用額の使用計画 |
大型備品購入の予定はなく、実験動物、遺伝子発現解析試薬等の消耗品を中心に使用することを予定している。また論文作成のための英文校正費や学会発表時の旅費に充てる予定である。
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