研究課題
海水中の溶存鉄の除去過程において,溶存鉄がコロイド粒子に吸着して凝集し,粒子化していく過程(コロイダルパンピング)が重要だと考えられる.本研究では,微物理過程に基づいてコロイダルパンピングによる鉄の除去を計算できる海洋モデルを開発している.平成28年度までに鉛直一次元モデルを開発してケーススタディを行い,三次元モデルに適用可能な手法(パラメタリゼーション)を開発することを目標としている.平成27年度は,鉛直一次元モデルで粒子が凝集し進行する過程を再現できるようになった.また,三次元モデルのパラメータの感度実験を実施し,現状の気候モデルにおける問題点を整理した.開発した鉛直モデルに関する学会発表を三件行い,鉄モデルの国際相互比較に関する学術論文の分担執筆を行った.
3: やや遅れている
鉛直一次元モデルに鉄の吸着過程まで組み込む予定であったが,平成27年度終了時点で未実施であり,達成度は90%である.
鉛直一次元モデルに鉄の吸着過程を組み込む.粒子の凝集過程と有機配位子の循環の結合,粒子のソースの扱い(無機態の水酸化鉄の粒子化,プランクトンによる有機態粒子の生成など)に関しては知見がないため,ケーススタディによりモデルの応答を把握する.最適と考えられる結果に対して,鉄の除去率の鉛直分布を計算する.その分布が海域毎にどのように異なるか把握し,三次元モデルに適用出来るパラメタリゼーションを開発する.
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)
Global Biogeochemical Cycles
巻: 30 ページ: 1-26
10.1002/2015GB005289