研究実績の概要 |
当院でJASPAC01に参加登録した42例の解析を行った。42例の全生存期間中央値(MST)は39.5ヶ月であった。GEM群のMSTが30.5ヶ月だったのに対し、S-1群では、登録した半数以上が生存しているため、MSTの算出ができなかった。JASPAC01全体と比較し、症例数が少ないため、全生存、無再発生存ともにS-1群の方がGEM群より良好な成績であったが、有意差を認めるまでは至らなかった。 免疫染色による発現解析は、各抗体ごとの条件設定をほぼ終了し、現在、未染プレパラートを作成するブロック選定を行っている過程である。 膵癌細胞株において次世代シークエンサーによる全エクソン、全遺伝子解析が可能であったため、膵癌に対し外科切除を行った10例の検体を用いて、全エクソン、全遺伝子解析を行った。膵癌主要4遺伝子のうち、KRASでは9例、TP53では6例、p16では2例に発現異常を認めた。腫瘍組織では、受容体型チロシンキナーゼの発現が亢進している症例が多く、4例でFGFR3の発現亢進を認めたが、そのほかの遺伝子(ERBB2, FGFR3, MET, JAK3, CSF1R, PDGFRA)では、複数症例において発現亢進しているものは認めず、今後の症例集積が期待された。
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