研究課題
本研究は、兵庫県下部白亜系篠山層群産のカエル及びトカゲ類化石についてその分類学的帰属を明らかにすることを目的としており、本年度は主として中生代国外化石標本を比較対象とし、その分類学的帰属を検討した。検討対象としたカエル類化石は、全身骨格化石2標本である。これらは、原始的な特徴を共有する一方で、幾つかの形質に差異が認められることから、異なる分類群であることが予想された。また、既知の中生代カエル類等と比較したところ、2標本は個々に明瞭な固有派生形質は有さないものの、複数の形質において他のカエル類との差異が認められた。以上の結果等から,これら2標本は最近,単模式の二新属・二新種(Hyogobatrachus wadaiとTambabatrachus kawazu)として記載報告された。トカゲ類化石については、前年度の研究において、Pachygenys adachiiと同属種でないとされる、上顎骨2点、歯骨6標本について、他の中生代トカゲ類と比較し、その分類学的帰属を検討した。結果、上顎骨1点、歯骨および下顎の一部6標本については何れもScincomorphaに帰属すると考えられ、後者については先行研究により指摘されている4タイプ加え、新たに1タイプが確認され、計5タイプに区分される。またこれらは、ヨーロッパ等から報告されているParamacellodus類と近縁的と考えられるが、SEMを使った歯先端部の形態比較の結果、既知の分類群と特徴が合致せず未記載種の可能性が高い。以上と先行研究の結果から、篠山層群産カエル及びトカゲ類相は、前者で2タイプ、後者で8タイプの分類群から構成されることが明らかになった。また先行研究で中国と日本とトカゲ類相の相関性が指摘されていたが、カエル類相においては相違性がみられる結果となった。
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Cretaceous Research
巻: 57 ページ: 350-363
10.1016/j.cretres.2015.06.002.
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http://www.hitohaku.jp/researchers/ikeda.html
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