研究課題/領域番号 |
26870928
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研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所 |
研究代表者 |
山崎 健 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 埋蔵文化財センター, 研究員 (50510814)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 古代 / 考古学 / 食生活 |
研究実績の概要 |
これまで古代における食生活の復元は、文献や木簡などの文字資料による研究が中心であった。本研究は、遺跡から出土する食料残滓から古代における食生活の実態を解明することを目的としており、食生活に関わる基礎資料を収集するとともに、遺跡出土資料の検討をすすめた。本年度の成果として、古代の宮城である藤原宮跡や平城宮跡から出土した動物遺存体の分析が特筆できる。これまでに藤原宮跡から出土した動物遺存体を再検討して、種同定の結果とともに、解体痕跡や計測値などの基礎データを報告することができた。海産貝類であるアカニシの貝殻片が認められたことなどの新知見も含まれている。また、平城宮東方官衙地区で検出した廃棄土坑からは、ウニ綱の殻板やサザエ、クボガイ、コシダカガンガラ、スガイの蓋や貝殻片の出土を確認した。ウニは殻付きの状態、海産貝類も貝殻ごと平城宮へ運ばれることがあったことを明らかにした点は、食生活の実態だけでなく、古代における海産物の流通を考える上でも大きな意義を持つと言える。これらの海産物は木簡にも認められており、今後の議論の深化が期待できる。平城宮跡における研究成果は、毎日新聞や文藝春秋といった新聞や雑誌に掲載された。広く一般の人々の関心を集めて、社会還元をすることができた。基礎資料の収集も着実に進んでおり、関連する遺跡のリスト化をおおむね終了した。古代における食生活の多様性に関する検討を開始している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
古代の食生活に関わる基礎資料を順調に集積している。あわせて、未報告資料についても積極的に分析をすすめており、着実に成果をあげている。
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今後の研究の推進方策 |
遺跡出土資料の検討を進めて各地の事例研究を蓄積させるとともに、収集したデータの整理を実施して、古代における食生活の地域的多様性を把握していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
職務実施や日程調整の関係から調査期間を短縮したこともあり、関連経費を次年度に繰り越した。
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次年度使用額の使用計画 |
追加調査として執行する予定である。
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