研究課題/領域番号 |
26870929
|
研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所 |
研究代表者 |
星野 安治 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 埋蔵文化財センター, 研究員 (50644481)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 年輪年代学 / 標準年輪曲線 / 年代測定 / 産地推定 |
研究実績の概要 |
本研究では,木材移送が盛んになった中近世を中心とした過去約1000 年間について,これまで構築した標準年輪曲線ネットワークの空白域である近畿以西の西日本にも拡張する。そして,標準年輪曲線ネットワークの地域区分を日本の全域について明らかにし,年輪年代学的手法による木材産地推定を,わが国で応用することを目的とする。 本研究の計画は,大きく3 つに分けられる。①空白域における地域標準年輪曲線の構築:標準年輪曲線ネットワークの空白域である近畿以西の西日本において,気候区ごとに年輪変動の相違が検出できることを想定し,各地域標準年輪曲線を構築する。②標準年輪曲線ネットワークの地域区分:連鎖,または区分できる地域範囲を明らかにし,中近世を中心とした過去約1000 年間の標準年輪曲線ネットワークを日本の全域に整備する。③木材産地推定の応用:②の地域区分を基に,東西2 地域からの木材移送が想定される中世近畿の木製文化財試料について,どの地域の標準年輪曲線と類似度が高く,また他の地域とは照合しないかということを明らかにすることで,産地を推定する。 期間を通じて,研究遂行上の基本となる木材試料の確保と,1 次データとなる年輪幅の計測を継続的に行う。まず研究初年度は,近畿以西の西日本における試料調査に最重点を置いて研究を行った。広島,岡山,鳥取などの埋蔵文化財収蔵施設,及び建造物修理現場を探索し,本研究に有用と考えられる木材試料を多数,見出すことができた。その内の一部は,高解像年輪画像を撮影し,年輪計測を開始している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究初年度である2014年度は,近畿以西の西日本における試料調査を中心に行う計画であった。研究実績の概要であげた埋蔵文化財収蔵施設,及び建造物修理現場を探索した結果,本研究に有用と考えられる木材試料を多数,見出すことができ,その内の一部は高解像年輪画像を撮影して年輪計測を開始できているため,概ね順調に進展していると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
2年目以降も,前年度の研究進展状況を吟味し,問題点を常に明確にしながら,概ね四半期単位で小目標を定めて計画的に研究を推進する。初年度に引き続く試料調査は,ネットワークの空白域を再整理し,確実に空白域を埋めることを目指す。対象試料は,遺跡出土材だけでなく,中近世建造物や,現地性の高い自然埋没木も視野に入れて探索する。
|