本研究では,木材移送が盛んになった中近世を中心とした過去約1000年間について,これまで構築した標準年輪曲線ネットワークの空白域である西日本にも拡張し,標準年輪曲線ネットワークの地域区分を日本の全域について明らかにして,年輪年代学的手法による木材産地推定をわが国で応用することを目的とした研究を行った。その結果,西日本日本海地域,瀬戸内地域,中部日本海地域,中部太平洋地域における年輪データを拡充することができ,これらの年輪曲線に地域的なまとまりが見られることが明らかとなった。また,多数の試料からなる標準年輪曲線を各地で構築する過程において,その試料群の同一材推定を行うことができる事例が増大した。
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