ヒトは自らに必要な情報を能動的に選択して知識獲得を行っている.本研究ではそのような知識獲得の選択性の神経基盤,および選択性を支配する合目的性の一端を明らかにした. まずヒトfMRI実験により,事前知識に基づいて脳内にプロトタイプ的神経表現を生成しておくことが,その後の知識獲得を促進することを示した.つまり脳は,実際の知識獲得以前に獲得すべき情報のタイプを定め,その神経表現を準備しておくことで,知識を選択していることが示唆された.加えて,知識獲得の合目的性に関して,新規合成語の獲得を課題としたヒト行動実験を用い,ヒトが創造的生産性を効率よく増強するように選択的に知識獲得を行っていることを示した.
|