本研究の目的は,特定ジャンル(小説,新聞,新書,Webテキスト)の読書不足が,語彙力・意味連想にどのような影響を与えるかを,コーパスに基づくシミュレーションにより検討することであった。平成26年度に選定した語彙テスト用あるいは単語連想用の単語に基づいて,短期大学・専門学校・四年制大学に通う800名の参加者にweb調査を実施した。その結果,語彙力について,「物語文優位群(物語文をよく読む群)>説明文優位群(説明文をよく読む群)>Webテキスト優位群(Webテキストをよく読む群)」という成績のパターンが見られ,先行研究の追試を行うことができた。さらに,コーパスによるシミュレーションを行った結果,上記の調査結果とは異なり,「説明文コーパス>物語文コーパス>Webテキストコーパス」という結果となった。このような食い違いの原因について,現在,新たなシミュレーション(複数のジャンルのコーパスを,参加者の各群の読書頻度に合わせてミックスする)を行い,検討しているところである。 上記の検討に関連して,単著1冊,学会発表2件,研究会発表2件と精力的に発表を行い,研究についてのフィードバックを受けてきた。その成果により,研究のクオリティが高まったと感じている。
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