研究課題/領域番号 |
26880009
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研究機関 | 滋賀大学 |
研究代表者 |
川井 明(孫為華) 滋賀大学, 経済学部, 准教授 (40517520)
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研究期間 (年度) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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キーワード | 高度交通システム / チャネル割り当て / 通信衝突軽減 |
研究実績の概要 |
応募計画に挙げた(a)-(c)三項目について研究を行い、概ね計画目標を達成しました。 (a)道路の分割とチャネル割り当ての考案: 4チャネルを用いた道路分割は応募段階でほぼ成功したが、4 チャネルが利用可能なのは11bの一部古い仕様だけであり、3 チャネルでの分割が必要である。そこで、4チャネル割り当て法を完成する上、往復車線に異なるチャネルを割り当てる際、一セルのサイズを上限の200mとし、左右のセルを半セル分ずらす方式を取った。この場合、高々3チャネルで全セルの色分けが可能になり、同じチャネルを利用するセルも100m離れるため、ほぼ干渉が起きないことが保証される。 (b)道路分割自動化プログラムの作成: 4チャネルを利用した自動化プログラムの作成が成功しました。道路を有向グラフとして扱い、頂点(交差点)間のグラフに対し、100~200mのサイズで数等分して順番にチャネルを割り当て、頂点にサイズ100mのセルを設け、隣接しないチャネルを割り当てればよい。道路分割自動化プログラムで地図を分割する上、手動でチャネル数を減らしたり、セルを修正するなどの工夫をする。 (c)セル内送信権決定アルゴリズムの考案: セルの中一定距離おきに、バーチャルな線を引き、送信権獲得線と呼ぶ。GPS 搭載車両はこの線に到達する瞬間、送信権を得たとし、同じチャネル内に他の送信電波を感知しなければ、送信(ブロードキャスト)を開始する。送信権の長さは、車両速度に比例する。送信権が尽きれば、次の送信権獲得線に到着するまで送信できない。車両密度が低ければ、車両の速度が速いと考えられる。この場合、車両は長い送信権を獲得し、データを連続的に送信できる。一方、車両密度が高ければ、車両の速度が遅いと考えられ、短い送信時間しか得られない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度の目標である3項目 (a)道路の分割とチャネル割り当ての考案、 (b)道路分割自動化プログラムの作成、 (c)セル内送信権決定アルゴリズムの考案、 応募時からすでにアルゴリズムを考慮し始めたため、サーベイ、考案と試行錯誤に十分な時間があった。また、手法開発する傍ら、計算機シミュレーションにも取り組み、送信権獲得線の位置決定など、初歩的な性能評価も行ってきた。
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今後の研究の推進方策 |
応募計画のとおり、以下の三項目について、取り組む方針である。 (d) シミュレータ上でシミュレーション実験:前年度に設計したアルゴリズムを計算機シミュレーションで検証し、単一チャネルを利用して送信する場合と比較し、スループットの変化を測る。また、通常の無線LAN と比較し、通信成功率を評価する。シミュレーションの結果を利用してアルゴリズムをチューニングする。現在、すでに自作のシミュレータ上で初歩的な性能評価が行えるようになった。今後、Scenargieシミュレータへの実装を試みる。 (e) 疑似実機実験:提案手法を市販の無線LAN 機器に実装する場合、一部ハードウエアを改造する必要の可能性があり、本応募課題の期間内に完了しない恐れがある。その代替案として、ZigBee 通信方式を使うXBee センサーを通信部とし、iPad を演算部とするシステムを作り、車両を疑似して実機実験を行い、通信の効果を裏付ける。 (f) 研究総括と成果発表:シミュレーションから結果が得られた段階から、国内研究会で途中成果を報告する。実機実験の結果を持ち国際会議とジャーナル論文に投稿する。
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