人間は、複雑な自然画像中から最も注目すべき情報を選択し、視覚的注意を向ける事で実環境に適応する。また、コンピュータ・ビジョンで重要な問題は、画像中の物体位置を理解する事である。これらの能力を実現するため、図領域を統合し、注意選択を行う大脳視覚領野のメカニズムについて研究した。具体的には、低次視覚野V2が背景から分離した図領域を、高次視覚野V4で統合する過程を大脳生理学的知見に基づきモデル化した。V4の活動が注意選択を仲介する。モデルに視覚野の特性である反応多様性を導入し、自然画像を含む多種多様な画像を用いたシミュレーションを行った。モデルは、ヒトの注意選択特性を定性的・定量的に良く再現した。
|