本研究の目的は,高齢者・難聴者が様々な雑音が存在する実環境下で,コミュニケーションを取りやすくするための補聴器の開発である.雑音環境下で補聴器を使用するには,目的音声を強調するための雑音抑圧技術が有効であるが,環境によっては目的音声が歪みすぎるなどの問題がある.そこで本研究では,雑音抑圧後の音声信号の品質を高次統計量の基づき自動制御する手法を提案し,聞き取りやすい補聴器の開発につなげる.
平成26年度は以下の項目に関して研究を遂行した.
雑音抑圧後の音声の品質に関しては,従来,ケプストラム歪みや信号対歪み比という評価尺度を用いることが一般的である.しかし,これらの評価尺度は観測信号の目的音声信号と,雑音抑圧処理後の目的音声信号が必要となるため,実環境下で音声の品質をリアルタイムに測ることは不可能である.本研究ではこのような教師情報を必要としない実環境で測定可能な新たな音声品質評価尺度に関する検討を行った,
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