今後の研究の推進方策 |
平成26年度の研究成果について、まずはbelief propagationアルゴリズムについての結果を論文化し、周知を図る必要がある。これにより、国内外の研究者との共同研究が進展すると考えられる。 また制限等長定数評価については、レプリカ対称性の破れを考慮した解析を行う必要がある。そのためには、平成26年度の解析結果を含むように、理論を拡張しなければならない。一般にレプリカ対称性の破れ(replica symmetry breaking, RSB)には、「1 step RSB (1RSB)」と「Full step RSB (FRSB)」が存在すると考えられている。レプリカ対称領域から1RSB, FRSBへの転移はそれぞれ異なる物理的描像を持つが、制限等長定数評価においてはどちらの転移が起こるのかを明らかにすることを目指す。また、RSBを考慮した解析を通して、平成26年度に導出したレプリカ対称性仮定下の制限等長定数が、バウンドとしての意味を持つのかどうかを明らかにすることも重要である。いくつかの系では、RS, 1RSB, FRSB仮定下の自由エネルギーについての不等式が成立することが示されている。同様の性質が制限等長定数についても成立するのかどうかを示すことは、理論物理としてだけではなく、実用上も大きな意味を持つことである。
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