研究課題/領域番号 |
26880029
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研究機関 | 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所) |
研究代表者 |
福井 隆雄 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所 脳機能系障害研究部, 流動研究員 (80447036)
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研究期間 (年度) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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キーワード | 到達把持運動 / 自閉症スペクトラム障害 |
研究実績の概要 |
到達把持運動実行時における,視覚によるつかみ幅(親指・人差指間距離)の調節機能を検討するため,モーションキャプチャーシステムを用いて,自閉症スペクトラム(ASD)者および定型発達者の運動学的特性を検討した. 本年度は,実験参加者の正面30cmに配置した木製円柱(直径4cmと6 cm)に対する到達把持運動実行中の見え(オンライン視覚)の影響を調べるため,液晶シャッターゴーグルを用いて,運動中常に視覚が利用可能な場合(視覚あり(Full Vision: FV)条件)と運動開始後(スタート位置のスイッチから手を離すと)見えが遮断される条件(視覚なし(No Vision: NV)条件)を比較した.視覚条件の提示方法として,1. FV条件とNV条件をブロック化する場合(同一ブロック内では常に同じ視覚条件で課題を実行する,ブロック化条件)と,2. FV条件とNV条件を交互に提示する場合(交互条件)の2種類設定した. 定型発達者については,運動中に記録される,指間距離最大値(把持制御におけるオンライン視覚の影響の指標と考えられる)が,FV条件よりNV条件において大きかった.さらに,ブロック化条件の方が,交互条件に比べ,FV条件とNV条件間の指間距離最大値の差が大きかった.ASD者について,定型発達者と類似の結果を示す参加者がいる一方で,指間距離制御へのオンライン視覚の影響が小さい,あるいは,交互条件時にFV条件とNV条件間の指間距離最大値の差がほぼ0になるといった結果が認められた.方略の影響なのか,オンライン制御の影響か,今後さらに検討していく.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験装置のセットアップに時間を要したが,その後,おおむね順調に実験を進めている. 実験計画では,成人,児童(4~5歳児)を同時並行で,実験を実施する計画であったが,児童の集中力を考慮した場合,集中力を維持するための実験系への工夫が想定以上に必要であるため,方針を変更し,まず成人及び思春期児童を対象にした実験を行うこととした.
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今後の研究の推進方策 |
現在行っている,成人,思春期児童に関する実験結果について,国際学会,国内学会などで発表し,論文執筆を行う.考察の過程で新たに浮かび上がる更なる仮説を検証する実験をすすめていく.児童(4~5歳児)を対象にした実験セットアップの構築を進める.ASD者の視覚-運動機能を研究している海外や国内の研究者とも,積極的にディスカッションする機会を探りたい.
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