研究実績の概要 |
本年度は,主に高次元データ及び関数データに対する分類の限界と可能性について研究を行った.高次元データのクラスタリング法に関しては,Hall et al. (2005, JRSS B)とは異なる条件の下であっても,同様の幾何構造が成り立てば,提案手法であるdistance vector clusteringがうまく機能することを示した.また,関数データの分類問題に関しては,ある種の半教師つき分類問題に対して関数データの高次元性をうまく利用した従来法とは異なるアプローチの分類法を提案し,その理論的性質についても明らかにした.さらに,Chiou and Li (2007, JRSS B)で提案されている関数データのクラスタリング法の性質は,真のクラスタが既知である実データ解析では意味のない状況でしか明らかにされていなかったが,このクラスタリング法が真のクラスタを特定するための条件を明らかにした. 加えて,脳情報データ解析の中で最も基本的で重要であるfMRIデータから脳活動領域を特定する問題に取り組んだ.Zhang et al. (2008, CSDA)で提案されているシンプルな一階差分推定量がZhang and Yu (2008, AoS)と同様の弱い条件の下で,漸近正規性をもつことを示し,SPM等の代表的な解析ソフトに組み込まれている従来法が必要とする強い仮定を必要としない新しい活動領域の特定法を提案した.さらに,実データにおいても提案手法がうまく機能することを示した.
以上の成果は,現在論文執筆中または投稿中である.さらに,国内または国際会議において発表を行い,統計学や機械学習の研究者と議論を深めた.
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