研究課題
本年度の成果は、以下のように要約できる。(1)発達期ゼブラフィッシュにおいてpregnane X receptor(PXR)の標的遺伝子の発現量を変動させる化学物質を探索した。受精後48時間の胚にビスフェノール類(BPA、BPF、BPAF;各0.001μM~10μM)を曝露したところ、いずれもPXR発現量に影響を及ぼさなかったものの、シトクロムP450(CYP)3A65発現量を低下させる傾向を示した。(2)複数の雌雄成魚のランダム交配から得た受精卵(20個/ペトリ皿)を用いてクロトリマゾール(CLO;3μM)の曝露試験を繰り返し実施したところ、CYP3A65の誘導性に実験間で差異が認められた。CLO応答性およびCLO低応答性を示した実験について、それぞれPXRの塩基配列を解析したところ、一塩基変異(SNPs)の出現パターンに差異が認められた。一例として、184番目のアミノ酸はCLO応答性ではセリン(pxr*1型)、CLO低応答性ではイソロイシン(pxr*2型)が顕在化していた。これらPXRアレルとCLO応答性/低応答性の関連性については今後の課題となった。(3)ゼブラフィッシュ胚でPXR・aryl hydrocarbon receptor type 2(AHR2)・CYP1/2/3分子種の発現調節に対するPXR・AHR2の役割を、モルフォリノアンチセンスを用いた遺伝子ノックダウン法で検討した。得られた結果より、PXRはセルフアップレギュレーションされること、ならびにPXRはAHR2・CYP1/2/3分子種の転写調節に、AHR2はPXR・CYP1/2/3分子種の転写調節にそれぞれ関与することが明らかとなった。こうした結果は、PXR・AHR2シグナル伝達系の間に双方向性のクロストークが存在することを示唆している。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Toxicological Sciences
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