本研究では、大規模な自然災害の発生後の地域農業の構造変化と農業の復興に寄与した要因を、被災の時期が異なる長崎県島原半島と宮城県仙台市沿岸部を事例として分析した。島原半島では、被災前の社会的ネットワークが復興の過程で活用されたことや新品目について収益が見込める販路が確保されたことが農業復興の鍵として挙げられる。 両地域での個別農家への聞き取り調査では、農地や家屋の立地によって被災の程度ならびに受けることのできた助成金や復興支援が大きく異なり、各農家の復興の経路にも大きな影響を及ぼしたことが明らかとなった。特に東日本大震災の津波被害が大きかった沿岸部では農業経営を共同化する傾向がみられた。
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