研究課題/領域番号 |
26881004
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
望月 翔太 新潟大学, 自然科学系, 助教 (90737777)
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研究期間 (年度) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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キーワード | 野生動物管理 / ニホンザル / 土地利用 / 生息地利用 |
研究実績の概要 |
本研究は、自然環境の過剰利用(戦後の拡大造林や農地の集約化)と環境の利用・管理の縮小(放棄農地や河川河道の樹林)が野生動物の分布パターンや生息地利用に与える影響を解明し、今後の土地利用計画を考案するための基盤となる研究を行う。
本年度は、1900年代と2000年代の2時期の土地利用図から、ニホンザル生息地の土地利用変化を取りまとめ、2時期のニホンザル分布域の違いを評価した。本解析の結果、ニホンザルの分布決定要因が明らかになり、さらに分布域の拡大がどのような土地利用の変化によって生じるかを明らかにする事ができた。なお、当初は旧版地形図を用いて複数時期を評価する予定であったが、ニホンザル分布域のスケールの問題から、衛星画像を用いた解析に変更した。これは、地域個体群を対象とした研究であり、比較的スケールが限定されている。そこで、より広域の土地利用変化を評価するため、国土数値情報の土地利用図を用いて、複数時期の土地利用を再現した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目標の一つに掲げた、「野生動物に帯する歴史的な土地利用の変化(オーバーユース)の影響」について、ニホンザルを対象種として解析を進める事が出来た。ニホンザルの群れ単位から、地域個体群までスケールを意識した形でデータセットを作成し、土地利用変化の影響を評価出来た。もう一つの目標である「耕作放棄地や河川河道の樹林化などのアンダーユースに影響」については、広域スケールのデータセットを用意する事が出来た。こちらの解析は27年度に実施する予定である。以上,当初掲げた目的に沿ったかたちで研究は遂行されており,順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
【耕作放棄地や河川河道の樹林化などのアンダーユースに影響】 ニホンザルとイノシシを対象に研究を遂行する。ニホンザルについては、テレメトリー法により10年間のデータが蓄積されており、群れごとに耕作放棄地や樹林化の影響を評価することが可能である。イノシシはテレメトリー法による調査で移動経路などが抽出する事を第一目標として、データセットを整備し、アンダーユースの影響を評価する予定である。 【野生動物の分布拡大シナリオに基づくリスク管理としての土地利用戦略】 ニホンザルとイノシシそれぞれで、分布拡大に関するプロセス・パターン解析を実施し、その結果を基に広域スケール(県全域)を対象にした土地利用戦略を提案する。
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