本研究は、自然環境の過剰利用と環境の利用・管理の縮小が野生動物の分布パターンや生息地利用に与える影響を評価する事を目的とした。1900年代と2000年代の2時期から、土地利用変化を評価し、2時期のニホンザルの潜在的な分布域の違いを明らかにした。ニホンザルの分布決定要因を明確にすることができ、さらに分布の拡大プロセスにおいて、土地利用の変化が与えた影響を考察した。イノシシの分布拡大モデルでは、生息適地と移動分散を組み合わせたモデルを開発した。その中で、イノシシの分布拡大に関し、農地や森林の影響が大きい事がわかり、中でも耕作放棄地の増加が、イノシシの分布拡大に寄与する事が明らかになった。
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