世界経済のグローバル化に伴って、各国は貿易を増加させてきた。特に、先進国の途上国からの輸入の増加に伴って、途上国で排出される環境負荷や消費されるエネルギー等の貿易に伴う環境負荷・資源の増加が近年問題となってきた。例えば、日本で電気自動車を生産する際に、その原材料として、途上国でのコバルト採掘が必要となり、自動車部品の生産の際に電力消費等を通して二酸化炭素や大気汚染物質等の環境負荷が発生する。このような中で、より詳細な製品段階でのサプライチェーンに伴う環境負荷の推計や、そのサプライチェーンをネットワークとして見た際のエネルギー・資源供給の実態を明らかにする必要がある。本年度では、はじめに、国際的なサプライチェーンを推計するための多地域間産業連関モデルの環境・エネルギー・資源への応用に関する研究をレビューし、その研究成果を口頭で発表した。さらに、現在までに多地域間産業連関モデルの拡張等を行い、エネルギー・資源ネットワーク構造解析のための基盤的なフレームワークを構築してきており、その成果の一部を論文誌に投稿中である。2年間の計画であったが、科学研究費補助金 若手研究 (A) の採用に伴い、本研究費は終了となるが、若手研究 (A) で引き続き、ネットワーク構造の解析に関する研究と他の研究を進めていく。
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