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2014 年度 実績報告書

新興病原生物の進化における宿主個体群の遺伝的構造の役割

研究課題

研究課題/領域番号 26881007
研究機関大阪大谷大学

研究代表者

内井 喜美子  大阪大谷大学, 薬学部, 助教 (90469619)

研究期間 (年度) 2014-08-29 – 2016-03-31
キーワード新興感染症 / コイヘルペスウイルス / 環境DNA
研究実績の概要

本研究課題は、新興感染症コイヘルペスウイルスをモデルシステムとし、宿主個体群の遺伝的構造が病原ウイルスの進化に及ぼす影響を明らかにすることを目的とする。そのためには、宿主個体群と病原ウイルス双方の遺伝解析が必要となるが、2014年度は、宿主コイ個体群の遺伝的構造を評価する手法の確立に重点を置き、研究を行った。日本の河川・湖沼には、古来から日本に生息する在来系統のコイに加え、ユーラシア大陸から人為導入された外来系統のコイが生息している。そして、在来系統は外来系統に比べ、コイヘルペスウイルスに対する耐性が低いことが分かっている。そこで、宿主個体群の遺伝的構造を、在来系統由来の遺伝子と外来系統由来の遺伝子の集団における頻度によって評価することとした。まず、複数の宿主個体群の遺伝的構造を迅速に解析するため、研究代表者による先行研究および本研究において、環境DNA(水に含まれる生物に由来するDNA)を用いた在来:外来遺伝子頻度の定量手法を実験室レベルで確立した(論文投稿中)。さらに、本定量手法を野外へ適用する妥当性を検討した。すると、実際に湖沼から捕獲したコイの在来:外来遺伝子頻度は、環境DNAを用いた定量手法から推定された在来:外来遺伝子頻度と良く一致することが分かった。これらの結果より、環境DNAを用いた在来:外来遺伝子頻度定量法を野生コイ個体群に適用すれば、各個体群の遺伝的構造を迅速に把握できることが確かめられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

半年という短い研究期間のうちに、本研究課題を遂行する上で非常に重要となる、宿主個体群の遺伝的構造の迅速解析手法の確立に成功した。従来は、宿主個体群の遺伝的構造を把握するためには、宿主生物の捕獲に加え、個体毎の遺伝解析が必要であったため、ひとつの地域個体群の解析を行うだけでも多大な時間と労力を要した。しかし、2014年度に確立した環境DNAを用いた手法では、生息水域から水を採取し、抽出したDNAを用いて解析を行えば、その水域の個体群の遺伝的構造を迅速に評価することが可能である。2014年度の成果により、2015年度より本格的に開始する、宿主個体群の遺伝的構造と病原ウイルスの遺伝的変化の関係に関する実験と解析を、円滑に進めていくための土台ができあがった。

今後の研究の推進方策

2014年度の研究により、環境DNAを用い、宿主コイ個体群における在来:外来遺伝子頻度を定量する手法を確立した。環境DNAを用いる本手法の利点は、時間と労力のかかる宿主コイの捕獲を行わなくとも、水を採取し、そこから環境DNAを抽出するだけで、宿主個体群の遺伝的構造の把握が可能となることである。そこで、2015年度は、調査範囲を拡大し、複数の水域における宿主個体群の遺伝的構造解析を実施することを目指す。同時に、水からコイヘルペスウイルスDNAを回収し、病原ウイルスの遺伝解析も進めていく。水中のコイヘルペスウイルス濃度は、春から夏にかけて増大するので、この時期にあわせてサンプリングを行う予定である。複数の水域における、宿主個体群と病原ウイルスの遺伝解析結果を得ることにより、本研究課題が目標とする、宿主個体群の遺伝的構造が病原ウイルスの進化に及ぼす影響の評価を実現することができると考えられる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 環境DNA手法を用いた在来および外来コイの生息地利用の推定2015

    • 著者名/発表者名
      内井喜美子, 土居秀幸, 山中裕樹, 源利文
    • 学会等名
      第62回日本生態学会大会
    • 発表場所
      鹿児島市
    • 年月日
      2015-03-19

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公開日: 2016-06-01  

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