研究課題/領域番号 |
26882006
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
苅山 靖 筑波大学, 体育系, 特任助教 (30734660)
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研究期間 (年度) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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キーワード | 片脚 / 骨盤の挙上運動 / 股関節外転筋 / トレーニング / バイオメカニクス |
研究実績の概要 |
本研究では,片脚という動作様式に着目した,片脚でのスクワットエクササイズ(以下,片脚スクワット)の方法論の構築を目指す。片脚ジャンプと両脚ジャンプを比較した申請者らの研究(苅山ほか,2013)を基にすると,片脚スクワットは前額面上における骨盤の運動やそれを制御する筋群を特異的に強化できるトレーニング手段となりうる可能性がある。このような骨盤の運動またはそれに関与する周辺筋群は,片脚で行う様々なスポーツ競技においてその重要性が叫ばれている。したがって,本研究によって,片脚で行われる多くのスポーツ競技に対する専門的・特異的なウエイトトレーニングを実施するための有益な知見が得られると考えている。H26年度では,トレーニング現場においてトレーニング負荷を変化させるために用いられている観点の一つである,片脚スクワットにおいて動作開始時の姿勢(矢状面上から下腿部の角度)に着目し,姿勢の相違により生じる影響について調査した。片脚スクワットを含むウエイトトレーニングに精通している男子体育大学生8名を対象に,通常の片脚スクワットと,動作開始時の下腿部の角度の異なる2種類の片脚スクワットを,両脚スクワットにおける最大挙上重量の半分の重量の30 %, 60 %,90 %条件で実施した。三次元自動動作分析システム(VICON MOTION SYSTEMS 社製)およびフォースプラットフォーム(KISTLER 社製)を用いて,各試技における地面反力,身体座標値を計測した。さらに,踏込脚大腿部や骨盤部を制御する筋群(脊柱起立筋,腹直筋,外腹斜筋,大殿筋,中殿筋,大腿筋膜張筋,大腿二頭筋長頭,外側広筋,大腿直筋)における表面筋電図を導出した。上記の実験は適切に遂行できたため,現在はそのデータ分析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
H26年度では,動作開始時の姿勢の相違による骨盤部,さらに大腿部の運動やそれに関与する筋群の動員様相への影響について調査するための実験を実施した。この点については予定通りであるが,そのデータ分析に関して遅れている。研究申請時では,現段階においてその実験データの分析をある程度終え,結果の概要を捉えることができている予定であったが,予定通りに進んでいない。被験者や実験機材の確保に時間がかかり,当初の予定より実験開始時期が遅れてしまったことが原因である。今後はこのデータ分析を進めていくことになるが,3次元動作解析や筋電図のデータ分析は問題なく行えること,分析の観点(骨盤周辺部の運動やそれに作用する筋群の活動様式を各試技で比較する)は定まっているために,分析は適切かつ迅速に遂行できると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
H27年度はまず,H26年度に実験を行った研究課題「片脚スクワットの動作開始時における姿勢の相違による影響」についてのデータ分析を行い,学会発表・論文執筆に向けた準備を行う。そして,残りの研究課題である,片脚スクワットの踏込脚における台の有無やその高さの相違による影響についての実験を行い,そのデータ分析を行う。なお,当該実験は筑波大学体育系研究倫理委員会で承認を得た上で実施する。 ○対象者:片脚スクワットを含むウエイトトレーニングに精通している男子体育大学生10名程度。 ○実験運動:踏込脚における台の高さを変化させた(0-30 cm)片脚スクワットを実施する。負荷重量は,両脚スクワットにおける最大挙上重量の半分の重量(S1RM)を基準に,S1RMの30 %から90 %の範囲内で行う。 ○測定および測定項目:三次元自動動作分析システム(VICON MOTION SYSTEMS 社製)およびフォースプラットフォーム(KISTLER 社製)を用いて,各試技における地面反力,踏込脚における関節トルクやトルクパワー,それによる関節仕事などの各種力学量を計測する。さらに,踏込脚大腿部や骨盤部を制御する筋群(脊柱起立筋,腹直筋,外腹斜筋,大殿筋,中殿筋,大腿筋膜張筋,大腿二頭筋長頭,外側広筋,大腿直筋)における表面筋電図を導出する。
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