本研究では、ヒトの全ゲノム解析を伴う医学研究における研究参加者個人へのゲノム情報の通知の在り方を検討することを目的に、文献調査及び国内の研究グループの動向調査を行った。1)全ゲノム配列の解析を伴う研究における倫理的課題を検討する際の枠組みが抽出され、また、2)国内外の研究コミュニティにおいて実際に研究参加者に通知すべき具体的な遺伝情報の検討や実践が蓄積されつつあること、並びに3)研究対象者の家族への影響についても検討すべきことが明らかとなった。各論点の評価は、将来的な解析技術の向上とゲノム医療の実用化の状況に応じて変わることから、今後も研究におけるゲノム情報の取扱い方を検討し続ける必要がある。
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