本年度は、昨年度作成したデータベースの最終的なクリーニングを行った上で、内的要素として学会機関誌のA「本文すべて」、B「採用されている方法論」、C「引用文献」、また外的要素として、D「学会の会員情報」、E「理事・編集委員」の分析を行った。しかし、後述する通り、内的要素と外的要素の明確な相互規定性が見出されなかったため、F「掲載論文タイトル」およびG「学会発表タイトル」の分析を追加することとした。そのため、FおよびGの追加入力の作業も行い、分析した。 結果として、これまで明らかでなかったAからGの各要素の変化を概観できるようになった。3学会の相互関係が直線的な近接/分離という変化をしているわけではないこと、また90年代以降に顕著な変化が生じていることなど最も大きな知見である。 しかし、FおよびGの要素を追加してもなお、内的要素と外的要素との明確な相互規定性は見出されなかった。両者は、単純な関係にあるわけではなく、研究者の出身機関など特定の外的要素が、直ちに研究に関する内的な諸要素を規定していない。これは極めて当然のようではあるが、これを実証的に確かめることができたこと、および、大学環境が研究者のあり方を規定するというような単純な決定論を批判できうる結果であることは、本研究の大きな貢献であると言える。
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