研究課題
本研究は、姿勢制御システムが感覚予測と実際の感覚入力を統合していることを明らかとすることを目的として行った。HMDを用いない従来の研究においては、ごく小さい振幅の周期的視覚外乱n対しては、それを自己運動の結果と解釈する錯覚(Vection)が生じ、それに対して、時間遅れを伴う同位相でのフィードバック的姿勢応答が観察されることが知られている。本研究では、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を用いて、静止立位中に、身長の0.3%の振幅の周期的視覚外乱を仮想現実(VR)空間で暴露した。しかしながら、多くの被験者に共通した同位相での姿勢応答は観察されなかった。それに対して、身長の3%, 10%といった大きな振幅での視覚外乱は、同位相での姿勢応答に加えて、逆位相での姿勢応答も観察された。昨年度得られた結果を追試できたため、間違いがない結果であると考えられるが、VRを用いない先行研究の結果が再現できず、解釈が困難であった。上記のように立位姿勢の制御においては、予想していたような進捗が得られなかったため、歩行中の外乱に対する姿勢制御を対象として感覚予測の役割を調べる研究を行った。トレッドミル歩行中に片方のベルトを急加減速させることにより生成した外乱に対する下肢筋群の反射的姿勢制御活動を記録した。これまでに計測していたデータを解析し、歩行中に与えられる外乱のタイミングが予めわかっていた際には、反射的姿勢制御活動の潜時が短縮することを示した。それに対して、外乱方向に関する事前知識は潜時に影響を与えなかった。この成果は2016年2月に、Frontiers Human Neuroscience誌に掲載された。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Frontiers Human Neuroscience
巻: 10 ページ: 29
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Journal of Electromyography and Kinesiology
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Frontiers Computational Neuroscience
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